草枕の道

夏目漱石の『草枕』の挿絵を描かせて頂くにあたり、やはり実際に歩いてみたい!実際に漱石(画工)が歩いた場所をこの目で見てみたい!という気持ちが強くなり、先日一人で歩いてきましたので、皆様にもご紹介致します。


時間の都合で、先ず最初に熊本市内の壷井という所にある、漱石旧居から見て来ました。

そのあと、茶屋から旅はスタートです。

峠の茶屋では「”おい”と声を掛けたが返事がない」の一節がありますが

ここで管理をなさっている方が先に私に気付かれ、声をかけてきてくださいました(^^)

今度挿絵を描くんです、と伝えた所、とても親切に色々と資料を説明してくださり、写真もどうぞ沢山撮って行って下さいと仰ってくださいました。

お名前を尋ねるのを失念してしまいましたが、茶屋の方、本当に有難うございました。

行き方も教えて頂き、途中迄わざわざ見送って下さったので本当に助かりました(;_;)

茶屋から少し歩くと写真の様な矢印の案内板が。

それまでは周りにあった民家も、少しずつ見えなくなって行きます。


どんどん歩き、田や小川を越えると山を登るコースに入ります。

正直ここが一番キツかったです(笑)

でも、有名な石畳の道もこのコースにあり、本当に美しい景色を堪能出来ます。

石畳の道を抜け暫く歩くと視界が開けて、自分がとても高い所迄来たと実感出来ます。

最初の写真左真ん中あたりの向こう側から歩いて来たのかな・・・?

辺りは蜜柑畑で、坂道からずっと蜜柑の香りに包まれていました(^^)

この辺りの蜜柑、有名なんだそうですよ。


そしてまた暫く歩くと野出峠です。山を二つ越した事になります。

目の前には有明海が見えて来ます。

その感動ったら!思わず『わぁ〜!!』と声が出てしまいました。

ここからはくだり道。(足は大分プルプルしてました・・・笑)

見える景色が変わり、街が見えて来ました。

何だか嬉しい様な残念な様な・・・複雑な気持ちでした。

ハイキングコースもいよいよ終盤。(足も限界 笑)


そして遂に前田家別邸に。

ここが画工が泊まったお宿。草枕の舞台です。

写真は那美さんと接近遭遇した浴場。

下に降りる事は出来ませんが、中を見学する事は出来ます。

詳しい事はこちらのサイトで紹介されています。

ハイキングコースの終点には、草枕交流館という所があり、こちらでは歴史資料の展示と草枕の観光案内施設です。

ここでもいろいろと詳しくお話を伺う事が出来、また資料にと欲しかった本も購入する事が出来て大満足でした。

交流館の皆様色々と有難うございました。


さて、もう足はプルプル。

そして汗だく・・・。

最後はやはり小天温泉に入りたい!ということでこちらの温泉へ。

目の前にみかん畑、有明海、島原半島が広がり素晴らしいロケーションでした。

少し熱めの温泉で気分スッキリ!

帰りはバスに乗って熊本駅へ。

ルートは全く違うのですが、あれだけ歩いたのにバスだと一時間弱で熊本駅に着いちゃうんですね(^^;)

そして電車で八代へ帰宅・・・。



当時とは変わった部分も多いでしょうけれど、

実際に歩き、風景を見て、においを嗅いで、音を聞いて・・・

小説の中を自分も同じ様に旅している様な感覚で、それは貴重な時間でした。


丁度都合よく(?)筋肉痛で動けないので、挿絵に集中出来ています(笑)

来月から熊日新聞にて始まる『草枕』、どうぞお楽しみに!


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コメント: 2
  • #1

    ひろぬま (日曜日, 25 1月 2015 23:38)

    実際に歩いてきたんですね。
    歩きながら考えたり感じたりすると,すっきり集中できるような気がします。「草枕」もそんな場面から始まってますね。

    結局,画工は1枚も画を描かなかった訳ですが,たくさんの画が画工の心の中にあったはずです。その画を奈々さんが引き出してくれるような気がします。楽しみです!!

  • #2

    nanamonda (火曜日, 27 1月 2015 21:08)

    ひろぬま様
    返信遅くなって申し訳ありませんm(_ _)m
    そうなんです、実際に歩いて来ました!
    実際に歩いてみて、凄く不思議な感覚になりましたし、凄くイメージが湧きました。お蔭様で初回の分の挿絵は順調に進んでおります(^^)

    そういえば結局絵を描きませんでしたね。でも随所で絵のイメージが湧くシーンが出て来ます。
    その後画工が描いた絵はどんな絵だったか、そんな想像も膨らみます。。

    そしてDVDも有難うございました!
    早速見ました!とても貴重な資料です。これでもっと深く漱石や作品を知る事が出来そうです。お忙しい中本当に有難うございました。